事業紹介

グリーンペプタイドとは

当社は、新規の「がん免疫治療薬」の開発(現在、臨床試験段階)を行う創薬ベンチャーです。がん免疫治療薬は、人間の体が本来持つ免疫機構に働きかけがん細胞を攻撃させることによってがんを治療する医薬品です。免疫機構を司る様々な免疫細胞や免疫に関与する物質を活用し、免疫応答をコントロールすることによって、がん細胞を死滅させたり、がんの再発・転移を防いだり、進行を遅らせたりします。がん免疫治療薬は、外科的に腫瘍を切除する手術、放射線でがんを殺傷する放射線療法、化学合成物を直接がん細胞に作用させて殺傷する化学療法(いわゆる抗がん剤治療)のいずれとも作用メカニズムが異なるので、手術・放射線療法・化学療法剤を経て治療の打つ手がなくなったがん患者にとっての「第4の治療法」と言われ、近年の顕著な臨床効果が示された開発成功事例によって大きな期待が寄せられています。

事業モデル

当社の基本的な事業モデルは、がん免疫治療薬シーズの探索研究から初期臨床試験までを行い、後期臨床試験からは国内外の製薬会社に開発製造販売権をライセンスし開発を委ね、そのライセンス先製薬会社からライセンス収入を得るものです。
医薬品開発は一般的に10年以上かかりますが、各国の当局の製造販売承認を得て上市される前でも、ライセンス先製薬企業から開発進捗に応じたライセンス関連収入(ライセンス契約締結時の一時金、その後開発進捗に応じて設定したいくつかのマイルストンを達成する毎に得られる開発マイルストン収入、上市後は製品売上高の一定割合となる販売ロイヤリティ収入等)を得ることができます。製薬会社へライセンス後も開発協力金を得て開発を継続することもあります。

当社は本邦におけるがんペプチドワクチン研究の草分け的存在の久留米大学発のベンチャーとして、久留米大学で平成4年に始まる基礎研究と平成10年に始まる臨床研究を終えたがんペプチドワクチン・シーズを、平成15年の当社設立とともに特許の譲渡を受けて承継し、企業治験に用いる治験薬の製剤化検討に始まり、早期臨床試験までを自社単独で行ってきました。リード開発品のがんペプチドワクチンITK-1は、現在実施中である進行性の去勢抵抗性前立腺がんを対象とする国内第Ⅲ相臨床試験の開始前に富士フイルム株式会社へライセンス・アウトし、現在は同社とともに、当社は同社から本臨床試験の実施を受託し開発協力金を得ながら、本臨床試験を遂行しています。

ペプチドについて

がん免疫療法の「主役」である細胞傷害性T細胞(CTL)は、がん細胞表面上の「抗原」を、がん細胞を攻撃するときの目印にします。この「抗原」の正体が、わずか9(±1)アミノ酸残基からなる短鎖ペプチドであること、またそのがん抗原を認識するCTLが1991年にベルギーのThierry Boon博士らのグループによって同定され、分子生物学に基づいた科学的な抗腫瘍免疫機構が確立しました。抗原の実体が判明したことで、世界中の研究機関で、抗原の探索に始まるがんワクチンの開発が本格化しました。
当社が久留米大学から承継しワクチンとして開発を進めているペプチドは、この抗原の正体が突き止められたすぐ後の平成4年から久留米大学の医学部免疫・免疫治療学講座において大規模に進められた抗原探索の成果物です。
ワクチンに用いられている抗原ペプチドは当時の久留米大学において、がん患者から得られた腫瘍組織からcDNA(腫瘍細胞に発現するタンパク質情報を持つメッセンジャーRNA(mRNA)から逆転写酵素を用いて合成された相補的DNA)ライブラリを作製し、そのcDNAライブラリの中からCTLの細胞株(がん患者から樹立された実際にがん細胞を攻撃することができるCTLの細胞株)が認識する抗原タンパク質を同定し、さらにCTLにより認識される9-10個のアミノ酸からなるペプチド分子を同定することによって見つけられました。実際のがん患者のCTLからより高いがん細胞殺傷力を引き出すペプチド抗原が厳選され、さらに久留米大学における臨床研究で実際にがん患者に投与され、免疫応答の強度で絞り込まれたものとなっています。

これらの生体由来のがん抗原タンパク質から見出されたペプチドは、そのアミノ酸配列のまま化学合成されたペプチド製剤となります。人の体内に存在するものと同じ物質であるため、従来の抗がん剤(化学療法剤)に比べて安全性が高く、患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を維持しながら、生存期間を延長させることが可能になると期待されています。また、これらのペプチドは化学合成で製造されることから、動物由来、血液由来のウイルス等の混入はありません。

開発パイプライン

リード開発品のがんペプチドワクチンITK-1は、久留米大学(福岡県久留米市)の研究成果の承継から始まり、製剤化、非臨床試験、早期臨床試験まで推進しアカデミアシーズから企業シーズへの橋渡しを果たした後、富士フイルム株式会社へ導出し、2013年6月に日本国内において前立腺がんを対象とする第Ⅲ相臨床試験をスタートさせました。
本臨床試験は、前立腺がんの中でも手術・放射線療法・ホルモン療法・化学療法剤の治療を経て打つ手がなくなった去勢抵抗性前立腺がん患者を対象に、全国の施設で進められています。

ITK-1は、予め用意した12種のがん抗原ペプチドの中から、投与前の患者の末梢血を用いた免疫検査によって、各患者に最適な抗原ペプチドを選択して投与する、「テーラーメイド型」と呼ぶがんペプチドワクチンです。「薬剤選択」により各患者への治療を最適化する個別医療によって患者のQOLを損なわずに延命効果が期待できるがん治療薬にすることを目指しています。

また、日本から世界へ発信する新規のがん免疫治療薬として、ITK-1に続くパイプラインとなる欧米人向けに幅広いがん種に対応するがんペプチドワクチンGRN-1201があり、米国FDA(米国食品医薬品局)に2015年10月に治験届(IND)を申請し、第一適応としてメラノーマ(悪性黒色腫)を対象とする米国での第Ⅰ相臨床試験を進めています。